お宮参り小物の中に、可愛らしい犬の形をした張子を見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。犬張子(いぬはりこ)と呼ばれるその小物は、子どもの健やかな成長と魔除けを願う日本の伝統的な縁起物の一つです。
今回の記事では、犬張子にフォーカスして、由来や発祥、こめられた願いや意味などを紹介します。
目次
そもそもお宮参りの小物とは?
お宮参りには、昔から縁起が良いとされる小物を身に着け、お寺や神社へ参拝する習わしがあります。お宮参りの様々な小物には、それぞれに意味があり、地域によって種類や意味が異なることもありますが、「赤ちゃんの健やかな成長や健康」を願うのは、基本どのお宮参り小物も共通しています。
これらの小物は赤ちゃんを抱っこしたとき、産着の紐を通じて抱っこする人の背中にぶら下がるように結び付けるのが一般的です。
犬張子とは
犬を祀るというのは、平安時代に身の穢れや災いを除くお祓いで、「狛犬」を清涼殿(せいりょうでん)に用いたのが元々の始まりといわれており、その後、室町時代には犬筥(いぬばこ)という張子の犬を産室に祀り、安産を祝うようになりました。これが後の犬張子に続いたといわれています。ゆえに犬張子はお宮参りだけでなく、産まれる前の安産祈願でもよく用いられることがあります。
かわいい見た目の犬?
数あるお宮参り小物の中の一つである犬張子のモデルは、神社でお祀りされている「狛犬」ということですが・・・犬というよりは猫にも似て見えますよね?昔は狛犬に似て角のあるデザインだったようですが、時代が変わるにつれて可愛いさも求められるようになったようで、角の取れた丸みを帯びたフォルムに変わり、顔つきも犬というよりは猫寄りになったそうです。
しかし見た目が猫っぽく変わっても、込められた願いはちゃんと犬由来です!そんな犬張子に込められた願いとは?
犬張子に込められた意味や願い
犬張子は、子どもの健やかな成長と魔除けを願う日本の伝統的な縁起物です。犬が「正直で魔を除き、主恩を忘れず、多産で安産であること」に由来し、「子どもが病気をせず、元気にスクスク育つように」「災難から身を守る身代わりになってくれるように」という成長祈願と魔除けの意味が込められています。
いろんな犬張子、サイズや素材、伝統的か現代的なデザインか
張り子の作りは意外とシンプルで、木や竹を組んだ骨組みや粘土で作った型に和紙を貼って形作られています。犬張子も通常の張り子と同じ作りの伝統的な物が多いですが、近年はぬいぐるみ素材のものなど、マスコットキャラ的に多様化しているようです。
ざるをかぶった犬張子ってなに?
犬張子に竹の「ざる」をかぶせた「ざるかぶり犬」があるのを知っていますか?ざるかぶり犬は、江戸中期頃から作られ始め、浅草の境内(けいだい)で売られていたと言われています。そんなざるかぶり犬には3つの願いが込められています。
1つめは「鼻づまりがなおるように…」という願いです。ざるで水をすくっても流れ落ちてしまうことから、犬張子にざるをかぶせて赤ちゃんの鼻づまり解消を願ったというわけです。
2つめは「疳(かん)の虫退治」のおまじないになります。
赤ちゃんは突然夜中に泣き出したり、かんしゃくをおこしたりすることがあります。昔の人はこれを「疳の虫が騒ぐ」といって、目に見えない架空の虫のせいにしていました。
その疳の虫にざるをかぶせて虫封じしてしまおう、というおまじないの意味があります。
3つめは、ざるの材質は竹なのですが、「竹」という文字と「犬」という文字を組み合わせると「笑」という文字になることから、「笑顔の絶えない、明るい子に育ちますように」という願いが込められています。
犬張子は名古屋の熱田神宮発祥
犬張子をお宮参りの小物として使うことは、愛知県名古屋市にある「熱田神宮」が発祥であるとされています。熱田神宮は、「伊勢神宮」「明治神宮」と並ぶ日本三大神宮の一つとされており、三種の神器である草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を御神体として祀っていることでも有名です。関西でよくお宮参り小物で用いられる「紐銭」も、熱田神宮が発祥ではないか?という説もあります。
お宮参りの紐銭とは?発祥、相場、お返しなどについて解説
ただ、熱田神宮のある中部地方以外では産着に付ける習慣があまりないようで、犬張子自体を知らない地方もあるようです。そのため、お宮参りの際に犬張子を使うかどうかは、ご家族や地域の方に事前に確認しておきましょう。
誰が用意する?
地域の風習や家庭の考え方によって異なりますが、誰が用意しなければならないのか?そもそも犬張子を使わなければならないのか?などに明確な決まりはありません。
用意する場合には、一般的に以下の3つのパターンが考えられます。
犬張子を用意する主なパターン
母方の実家が用意する(伝統的な風習)
古くからの慣習では、お宮参りの産着や縁起物(犬張子、でんでん太鼓、扇子など)は、母方の実家が揃えて贈るものとされていました。
父方の実家が用意する
地域によっては、お宮参りにかかる費用一式を父方の実家が負担する風習もあり、その流れで犬張子などの小物を準備することもあります。
赤ちゃんの両親が自分たちで用意する(現代の主流)
最近では実家に頼らず、両親がネット通販などで購入したり、レンタル衣装のセットに含まれているものを利用したりするケースが非常に増えています。
お宮参りでどう使う?
お宮参りの小物は、赤ちゃんを抱っこしたとき、産着の紐を通じて抱っこする人の背中にぶら下がるように結び付けるのが一般的です。
扇子に付いている麻の紐を伸ばし、でんでん太鼓、犬張子、お守り袋の順番で小物同士を結び付けます。 紐銭がある場合は紅白あるいは金銀の水引で結び付けます。
落ちてくることのないよう、麻の紐を産着の紐にしっかりと結び付けましょう。
使用後の犬張子はどうする?
生後1か月ほどのお宮参りが済んだ後、犬張子はどうすればいいのでしょうか。お宮参りで使用した小物は、その後神社へ奉納するのが一般的です。犬張子は赤ちゃんを護る役目があるので、3歳の七五三の際に奉納するといいでしょう。
せっかく赤ちゃんを守ってくれる犬張子を、片付けて仕舞いっぱなしにするのは避けた方がよさそうです。
その他の縁起物に込められた意味や願い
・お守り袋
お守り袋は、お寺や神社でいただいたお守りを入れる袋です。 縁起の良い「鶴」が刺繍されているものが多く、赤ちゃんの長寿の願いが込められています。
・扇子
扇子はその形から「末広(すえひろ)」とも呼ばれ、「赤ちゃんのこれから先の人生が末広がりであるように」という願いが込められています。 お宮参りの扇子はのし袋に入れられ、麻の紐が添えてあります。 麻の紐には「麻のように丈夫に育つ」という意味があります
・でんでん太鼓
赤ちゃんのおもちゃとして親しまれているでんでん太鼓も、お宮参りに用いられる小物の一つです。 すべて丸い面で表も裏も同じ形のでんでん太鼓には「おだやかで裏表のない子に育ちますように」という願いが込められています。また「太鼓の音は魔物を祓う」ともいわれており、魔除けとしての役割もあります。
・紐銭
「生まれてきたこどもが一生お金に困らないように」という願いを込めて、硬貨を麻ひもに通して祝着に結びつけたことに由来します。
お宮参りの紐銭とは?発祥、相場、お返しなどについて解説
まとめ
・犬張子の意味は「子どもが病気をせず、元気にスクスク育つように」「災難から身を守る身代わりになってくれるように」という成長祈願と魔除けの意味が込められています。
・近年様々な犬張子が登場しており、お宮参り小物の中でもマスコットキャラ的な人気があり、様々な素材やデザインの物が存在する。
・犬張子をお宮参りの小物として使うことは、熱田神宮が発祥であるとされている。また紐銭奉納文化も熱田神宮発祥ではないかという説も存在する。
・犬張子を誰が用意するかは明確な決まりはない。
・使い方は他のお宮参り小物と同じで産着の紐に通して使用する。使用した後は3歳の七五三のお参り時に奉納することが一般的。
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公開日2026年7月7日
更新日2026年7月8日





